FINAL FANTASY XVI ストーリーについての不満(ネタバレあり)

FINAL FANTASY XVI(FF16)のストーリーについて、色々言いたいことがあったので記事にして残しておく。ド・ネタバレがあるので未プレイの方は注意。

 

ネタバレ無しの感想はこちら
FINAL FANTASY XVI ネタバレ無し感想 - Nkentsukimiya’s diary

 

ざっくりいうと、「バハムート戦までのストーリーは良かったけど、それより後がイマイチ」というハナシ。

FINAL FANTASY XVIのストーリーのあらすじ

 凄くざっくり纏めると「主人公が『人』のために、神を殺し世界の理を書きかえる話」である。

FINAL FANTASY XVIのストーリーの不満点

 まず、大前提としてFF16のストーリーは王道な物語であり新規性はほぼない。ただ、これはFFナンバリングでAAAタイトルという要素を鑑みれば仕方のないことだし、そもそも、きょうび完全に斬新なストーリーなんて滅多にないので、大した問題ではない。

 個人的に不満なのは、王道なストーリーの中でも「重要な話がサブクエスト落ちしている」「敵(アルテマ)の戦略が不可解」なところ。バハムート戦が終わった後から終幕までの物語の畳み方に、ど~してもツッコミたくなってしまった。

重要な話がサブクエスト落ちしている

ここでいう「重要な話」は「ベアラーの真実」と「魔法に代わる技術」。かなり大事な話がサブクエストに落ちているせいで、メインストーリーが面白くなる要素を活かしきれていないと感じた。

  • ベアラーの真実
    • ヴィヴィアンから依頼される禁書を回収するサブクエストで、「ベアラーは元々クリスタル無しで魔法を行使できることから、崇められ上位の存在として扱われた」「驕ったベアラーに対し人は反旗を翻して、これまでとは逆に奴隷として扱った」という「真実」が語られる。物語の序盤でベアラーの設定を読んだ人間の全員が抱く「クリスタル無しで魔法が使えるって人の上位互換っぽいのに何故奴隷に?」という疑問への回答がここにある……んだが、これがメインで語られないのは本当に酷い。クエストの受注方法が手紙でちょっと気づきづらいし……。
  • 魔法に代わる技術
    • ブラックソーン関連の連続サブクエストで、ブラックソーン故郷の村で、「大型のクリスタルに頼らず鍛冶に耐えうる高熱を実現する」技術を提供する話がある。
    • 主人公がしている「マザークリスタルの破壊」は既存インフラの破壊でもあり、物語に描かれていない部分で相当数の人が露頭に迷っているはずなのだが、このクエスト以外で殆ど描かれない(すれ違った村の人が困っている声は聞こえたりするけど)。実際、世界はアカシアの脅威に晒されることになるので、それどころじゃ無くなるんだけど……。
    • このブラックソーン関連のサブクエストを読んでいれば、エンディングで少年が火起こしするシーンを見た時に「理を書きかえたあとの世界で、隠れ家の仲間たちが魔法に頼らず生活できる技術を広めたんだな」と解釈できるけど、読んでいないとサッパリ分からない。
    • メインクエストの終盤で「黒の大地」が広がるのはマザークリスタルを破壊するだけでは完全に抑止することはできず、魔法の行使そのものが「黒」を生むと判明する(知ってた)けれど、この事実がもっとはやく明らかになっていれば、魔法からの脱却を積極的に試みる展開をメインストーリー内に盛り込めたんじゃないかなあ。

 完全に好みの問題だけど、アカシアと自我まわりの話がイマイチだったので、代わりにこの「ベアラーの真実」を掘り下げる話をメインでやって欲しかった。そうするとアカシアが出現することでなあなあになっていたクリスタル(インフラ)破壊問題にも向き合う必要があるので、隠れ家の仲間とともに魔法に頼らず生活できる技術を広める話もできたんじゃないかなあ、と思ったり思わなかったり。

 インタビューで吉田が「泣く泣くサブクエストに落とした重要な話がある」的なことを言っていたらしいけど、これらがその「重要な話」なのであれば取捨選択が下手すぎ!ってなっちゃうなあ。アカシアの話よりも大事かなぁ?オーディンがアカシアだから必要だった?それをいうとオーディン戦もイマイチだったので、結局バハムート戦が終わった後の展開が自分の好みじゃない、という話なのかも。

敵(アルテマ)の戦略が不可解

 今作のラスボスであり神であるアルテマさんだけど、まぁツッコミどころが多い。

  • 少年期クライヴを見つけた後、もう少し器にしやすいように手をうっとけよ
  • リヴァイアサンってワードだけ一瞬出てきたけどクライヴに食わせなくてもええの?
  • ジョシュアが吐血しながら封印していたアルテマってなんの意味があったの?
  • アルテマ・プライム君、あんなにHP残ってたのにバハムート最期の一撃でそんなに行動不能になる?
  • アルテマも「自我」あるやん、って指摘されてからダセェ~

などなど、色々あるがクライヴが最初から器として操られてたらこの物語が始まらないし、器の完成に必要なのは召喚獣n体が条件なのかもしれないし、バハムート最期の一撃がめちゃくちゃ強かったのかもしれないし、「人」に討たれる直前の「神」はだいたいダサいので、まだ見て見ぬふりができる(ジョシュアが封印していたアルテマの意味はマジで分からん。分かる人がいたら教えてください)。

 ただ、どうしても納得できないのが

  • クライヴの自我が邪魔で器として乗っ取れない
  • 人と人の繋がりが自我をつくる
  • クライヴは仲間との繋がりで強い自我をもつ

アルテマ自身が語っていたのにも関わらず、「クライヴの仲間を殺す」アクションを取ってなさすぎる。ミドを殺そうと?カンベルに攻め込んでいるけど全然殺せてないし、オーディンはミド殺せるタイミングが絶対あったやん……。ジルとジョシュアは召喚獣をクライヴに食わせるノルマがあるから殺せないとしても、隠れ家の他のメンツや石の剣の連中なら殺し放題なはずなのに全くその気配がない。ディオンにはオリヴィエを乗っ取ってあんなに酷いことしたのに!??

 まぁ、ドミナント以外皆殺しにされてたら往年の鬱ゲーもビックリなのでAAAタイトルには無理、というのは理解しているけど、いくらなんでも目的を達成するための手段が明確なのにそれを行使しないアルテマに「???」となっていた。神のくせに頭悪いな。

 ジルのシヴァがクライヴに渡ったあたりで、アルテマがジョシュア以外皆殺しにしようと画策して隠れ家2がめちゃくちゃになり、そこから決戦の流れへ……でもそんなに違和感ないけどな、と思ったけどエンディングで妊婦が赤ちゃん産む場所とジルが月見て泣くシーンのために隠れ家2は残しとく必要があったのかな。

まとめ

 適当に色々書いたけど、もともとクライヴの目的は「人が人として生きられる世界を作りたい(被差別階級のベアラーを救いたい)」だったのに、アカシアが出てきて世界が終末に向かったのでアルテマを倒さざるを得なくなり、「打倒アルテマ」に目的がすり替わってしまい、「ベアラーの真実」や「魔法のない世界の実現」といった面白そうな話を掘り下げること無く、アルテマ(神)とのラストバトルに挑み、「人間讃歌」と「神の失墜」を描いて終わる、のがなんだかなぁ~って感想になっちゃいました。というお話。「ゲームの尺の都合で仕方なく」って言われたら、そうですか……としか言えないのだけども。

 ネタバレ無し感想にも書いたけど、ストーリーに不満はあるものの、このゲームのアクションは面白いし、召喚獣バトルの演出は最高だったのでFF16はオススメです。誤解なきよう。

 

 

 

 

エンディングについて

 蛇足だけど……自分はエンディングを最初に見てクライヴもジョシュアも死んでると解釈したんだけど、この記事書くために色々検索していたら違う解釈が目に入ったので一応書いておく。

  • クライヴ
    • クライヴ生存説をちょこちょこ目にしたんだけど、個人的には流石に死んでると思う。生きてたら綺麗じゃなさすぎるから。
    • クライヴの声でナレーション入ったり、ハルポクラテスからペン貰ったから~みたいな要素から生存しているかも!って主張は分かるけど、それ以上に輝きを失うメティアを見てジルが号泣するシーンのこと記憶から欠落してるのか?と思ってしまう。このシーンのジルは嬉し泣きしてたってこと?
    • 世界の理を書きかえて死ぬ、という終わりは美しく、物語の〆に相応しいと思うのでやっぱ死んでてほしいな。
  • ジョシュア
    • クライヴがジョシュアの体を修復したのは、「せめて死体は美しく」的な思いやりだと思っていた。フェニックスは傷は治せるが死者は蘇らない、と描写されていたし。
    • ただ、「レイズ」のくだりやアルテマ(神)の力を得たクライヴの力ならジョシュアを生き返らせることもできるのでは?という意見を見かけてそうかも……と思った。
    • そうして生き残ったジョシュアが『ファイナルファンタジー』を執筆した、というのはクライヴ生存説の「クライヴがなぜかジョシュア名義で執筆した」よりは納得。
    • ただ、そうするとあの時点のクライヴは死者を生き返らせる能力を持っていたことになり、色々台無しになっちゃう。世界の理を書きかえる前にもっとやることがあるだろ!!!!

 やっぱ2人とも死んでたほうが綺麗なので、2人とも死んでると思うことにします。